トレイルランナー必見!アキレス腱を痛めないためのケアと予防
トレイルランニング(トレラン)は、山道や不整地を駆け抜ける魅力的なスポーツですが、アキレス腱への負担が大きく、痛めるリスクが高い競技でもあります。特に登りや下り、長時間のランニングが続くことで、アキレス腱にかかるストレスは増大し、炎症や痛みを引き起こしやすくなります。
本記事では、トレラン特有のアキレス腱への負担の原因と、その予防法やケア方法について詳しく解説します。
トレイルランニングとアキレス腱の関係
舗装路を走るロードランとは異なり、トレイルランニングでは登り・下り・不整地といった地形の影響で、アキレス腱にかかる負担が変化します。
- 登り坂:ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)が縮んだ状態が続くため、アキレス腱に過度な負荷がかかる。
- 下り坂:着地時の衝撃が大きく、アキレス腱に急な伸張ストレスが加わる。
- 不整地・岩場:バランスを取るためにアキレス腱が頻繁に使われ、負担が分散せず一部に蓄積しやすい。
このように、トレイルの環境がアキレス腱に大きなストレスを与えるため、適切な予防策が重要になります。
アキレス腱を痛める主な原因
トレイルランニングは、舗装された道を走るロードランとは異なり、不整地を走るため、常に足元の状況が変わります。そのため、アキレス腱にかかる負担が大きくなりやすく、特に長時間のランニングや急な斜面での走行が続くと、炎症を引き起こすリスクが高まります。
さらに、トレイルランナーは路面の状況に応じて足首を頻繁に使うため、アキレス腱だけでなく、周囲の筋肉や腱にも負荷がかかります。適切なトレーニングとケアを怠ると、慢性的な痛みや障害につながる可能性があります。
(1) 地形の影響(登り・下り)
長い登りではアキレス腱が常に短縮した状態になり、下りでは着地の衝撃が蓄積します。この繰り返しが炎症を引き起こします。
(2) シューズの選び方のミス
岩場や下り坂では特に衝撃が強いため、クッション性のあるソールを選ぶことが大切です。
ロード用の薄いソールのシューズでは、トレランの地形には適していない場合が多いです。
適切なドロップ(ヒールとつま先の高低差)がないと、アキレス腱への負荷が増す
一般的に4mm〜8mmのドロップがトレランでは適しているとされています。
ドロップが低すぎるとアキレス腱が過度に伸びた状態になり、痛みの原因に。
逆に、ドロップが高すぎると自然な足の動きを妨げ、他の部位への負担が増加することもあります。
シューズのフィット感が悪いと、足の動きが不安定になり負担が増加
大きすぎるシューズは足がずれてしまい、着地時のブレがアキレス腱に負担がかかります。逆に、タイトすぎると足の可動域が制限され、適切な衝撃吸収ができなくなる。実際に試し履きをして、足にフィットするシューズを選ぶことが大切です。
適切なシューズ選びをすることで、アキレス腱にかかる負担を軽減し、ケガのリスクを最小限に抑えることができます。
(3) 走り方・フォームの問題
トレイルランニングでは、走る地形が常に変化するため、ロードランと比べてフォームが乱れやすくなります。これにより、アキレス腱に不自然な負担がかかり、痛める原因となります。
無理なフォアフット走法(つま先着地)
トレランでは不整地を走るため、フォアフット走法を意識しすぎると、ふくらはぎの筋肉が過度に緊張し、アキレス腱にダメージが蓄積します。
長い登り坂ではフォアフット着地が効果的な場合もありますが、無理に続けると炎症を引き起こすリスクが高まります。
強すぎるヒールストライク(かかと着地)
下り坂でかかとから着地すると、衝撃がアキレス腱に直接伝わりやすくなります。
膝を軽く曲げて衝撃を分散させることで、アキレス腱への負担を軽減できます。
ストライド(歩幅)が広すぎ
トレランでは、短いピッチ(回転数)で走ることが重要です。
ストライドが大きくなると、着地時のブレーキ動作が強まり、アキレス腱に余計なストレスがかかります。
(4) オーバーユース(使いすぎ)
長時間のランニングや短期間での過度なトレーニングにより、アキレス腱に炎症が起こりやすくなります。
(5) 回復不足・ストレッチ不足
アキレス腱の負担を軽減するには、適切な回復とストレッチが不可欠です。しかし、多くのトレイルランナーは走った後のケアを怠りがちで、それが慢性的なアキレス腱の痛みにつながります。
- トレーニング後のストレッチ不足がアキレス腱の硬直を招く。
- ランニング後、ふくらはぎの筋肉が緊張したままだと、アキレス腱にかかるストレスが抜けにくくなります。
- 走り終わった後に軽いストレッチやマッサージを行うことで、筋肉をほぐし、アキレス腱の柔軟性を保つことが重要です。
- 睡眠不足や栄養不足がアキレス腱の回復を遅らせる。
- 回復のためには、十分な睡眠と栄養が必要です。
- 特にたんぱく質やビタミンC、コラーゲンを含む食品(鶏肉、大豆、柑橘類など)を摂取することで、腱の修復を促進できます。
- アイシングと温熱療法を適切に使い分ける。
- 走った直後のアイシング(冷却)は、炎症を抑えるのに効果的。
- 翌日以降、張りを感じる場合は温熱療法(お風呂や温湿布)で血流を促進し、回復を早めます。
- 積極的回復(アクティブリカバリー)の重要性。
- 完全に休むのではなく、軽いウォーキングやストレッチなどの軽運動を取り入れることで、血流を促し、アキレス腱の回復を助けます。
- 「痛みがあるから完全に動かさない」よりも、「適度に動かして血流を良くする」ことが効果的な場合もあります。
これらのケアを取り入れることで、アキレス腱の疲労を軽減し、痛みを防ぐことができます。

アキレス腱を痛めないための予防策
(1) ふくらはぎ・足首のストレッチと筋力トレーニング
- ストレッチ:
- 壁に手をつき、片足を後ろに引いてアキレス腱を伸ばす。
- 足を階段の端に乗せ、かかとを下げることでストレッチ。
- 筋力トレーニング:
- カーフレイズ(つま先立ち運動)を取り入れ、アキレス腱周りの筋肉を強化。
(2) シューズ選びのポイント
- クッション性のあるトレランシューズを選ぶ。
- ドロップ(つま先とかかとの高低差)が適切なものを選択。
- 一般的に4mm〜8mmのドロップが負担軽減に適している。
(3) トレーニングの強度を調整する
- いきなり長距離を走らず、段階的に距離や強度を増やす。
- 登り・下りの走行フォームを意識し、無理な動作を避ける。
(4) 痛みを感じたら即対応
- 軽い違和感の段階でトレーニングを控え、アイシングやマッサージを行う。
- 走る前後にストレッチや動的ウォームアップを取り入れる。

アキレス腱を痛めたときのケア
アキレス腱に痛みを感じたときは、早めに適切な対処を行うことが重要です。軽度の炎症ならセルフケアで回復できることもありますが、放置すると悪化し、長期的なトラブルに発展する可能性があります。特にトレイルランニングはアキレス腱に強い負担がかかるため、違和感を無視せず、状態に応じたケアを行いましょう。
(1) アイシング or 温熱療法
- 炎症がある場合(腫れ・赤み・熱感) → アイシング(冷却)
- 慢性的な張りや疲労がある場合 → 温熱療法(温めて血流促進)
(2) セルフマッサージ・ストレッチ
- フォームローラーやテニスボールを使ってふくらはぎをほぐす。
- かかとをゆっくり押し下げるストレッチを行う。
(3) 整骨院でのケア
- 超音波・電気治療で炎症を抑える。
- テーピングでアキレス腱を保護。
ランニングフォームの指導を受け、負担を軽減。
よくある質問
Q1. アキレス腱が張るのは危険?
アキレス腱の張りが続く場合、炎症の前兆である可能性があります。張りを感じたら、まずストレッチや軽いマッサージを行い、筋肉の柔軟性を保ちましょう。ただし、痛みを伴う場合や、朝起きたときに強いこわばりを感じる場合は、アキレス腱炎の初期症状の可能性があるため、適切な休養とケアが必要です。痛みが長引く場合は整骨院や専門医の診察を受けることをおすすめします。
Q2. 痛みが軽いときは走っていい?
軽い痛みであれば、ウォームアップやストレッチをしっかり行った上で様子を見ながら走るのは可能ですが、痛みが増す場合はすぐに中止してください。無理をすると炎症が悪化し、慢性的なアキレス腱炎につながることがあります。また、走る際にはスピードを落とし、柔らかい地面(芝生や土の道)を選ぶことで負担を軽減できます。
Q3. テーピングやサポーターは必要?
予防やサポート目的でテーピングやサポーターを使用するのは有効ですが、根本的な解決にはなりません。アキレス腱への負担を軽減するために、筋力強化やストレッチを継続的に行うことが重要です。
また、痛みがある場合はテーピングを活用することで一定の安定性を保てますが、長期間の使用は筋力の低下を招く可能性があるため、適度な使用を心がけましょう。
まとめ
トレイルランニングはアキレス腱に大きな負担をかけやすい競技ですが、適切な予防策とケアを実践することで、痛みを回避しながら長く楽しむことができます。
アキレス腱の負担を軽減するためには、日々のストレッチや筋力トレーニング、適切なシューズ選びなどが欠かせません。また、痛みを感じた際は無理に走り続けるのではなく、早めに適切なケアを行うことで、長期的なトラブルを防ぐことができます。
特にトレイルランニングでは地形の影響が大きいため、ランニングフォームの改善や疲労回復のためのリカバリーも重要です。自分の体の状態をよく観察し、アキレス腱に違和感を覚えた際は、適切な対応を心がけましょう。
痛みを感じたら無理をせず、適切なケアや整骨院でのサポートを受けることが大切です。
整骨院では、アキレス腱の炎症を抑える施術や、再発防止のためのトレーニング指導を受けることができます。トレイルランニングを長く続けるためにも、日々のケアと専門家のアドバイスを活用しながら、健康的に走り続けましょう。